相手を特定できる情報は、生成AIへ入れません

本名、住所、電話番号、学校、勤務先、位置情報、口座情報、本人確認書類、パスワードや認証コードは、そのまま生成AIへ入力しないでください。自分の情報だけでなく、視聴者の名前、アカウントID、個別メッセージも同じです。

相談に必要なのは個人情報の全文ではなく、起きていることと決めたいことです。固有名詞や画像を渡す前に、人物を「視聴者」「配信者」へ置き換え、場所や時刻などの手掛かりも外して、必要な事実だけで質問を作りましょう。


入力しない情報を先に分ける

最初に外すのは、本人へ直接つながる情報です。本名、住所、電話番号、メールアドレス、学校名、勤務先、顔写真付きの本人確認書類、銀行名・支店・口座番号、カード情報を入力対象から外します。

ログイン用のパスワード、認証コード、バックアップコードも入力しません。AIに「設定を手伝ってほしい」ときでも、秘密の文字列を見せる必要はありません。どの画面で何に困っているかだけを説明してください。

契約書、報酬の明細、未公開のイベント条件、事務所との個別連絡も、文書や画面を丸ごと渡さないようにします。YUIの現場では、事務所のマネジメント内容や契約内容を配信で話さないことを、初配信後の注意点として繰り返し伝えてきました。生成AIへの入力でも、この境界は変わりません。

本人確認の手順を質問したい場合は、「本人確認書類を送る画面でエラーが出る」のように状況だけを書きます。書類の写真、番号、住所、顔写真を含む画面そのものは添付せず、利用中のサービスの正式な窓口で確認してください。


配信者と視聴者を特定する手掛かりも外す

名前を消しただけでは足りないことがあります。学校や職場、住んでいる地域、最寄りの交通機関、決まった配信時刻、珍しい出来事が一緒に残ると、知っている人には誰の話か分かることがあります。一つずつでは曖昧でも、組み合わせで本人へ近づく情報は外しましょう。

配信画面や写真には、文章以外の手掛かりも写ります。制服や名札、郵便物の宛名、窓の外の建物、位置情報の表示が残っていないかを見てください。YUIの対応記録でも、配信中の所在地表示を止めるため、アプリとスマートフォンの両方で位置情報を共有しない設定へ変えるよう案内しています。

視聴者から届いたDMやコメントのスクリーンショットも、そのまま添付しません。表示名、アイコン、ID、投稿時刻、過去の会話が一枚に入りやすく、本文だけをコピーしたつもりでも周辺の情報まで渡してしまいます。

公開コメントだから自由に再利用できる、と決めつけないでください。配信中に見える内容と、別のサービスへ移して分析することは同じではありません。相談の目的に必要な部分だけを、自分の言葉で短くまとめます。


成人女性ライバーが視聴者のメッセージから人物、場所、時刻の手掛かりを外して相談文へ置き換える場面

相談内容を固有情報のない文章へ置き換える

DMへの対応を相談するなら、メッセージ全文ではなく、「常連の視聴者から私生活に踏み込む連絡が続いている。個別の会話を続けず、配信で話そうと伝えたい」のように、関係と困りごと、望む対応だけを書きます。

YUIでは、DMはお礼だけにとどめ、返信が来ても会話を続けない、続きは皆が見られる配信で話す、と距離を取る対応を伝えてきました。AIへ文章案を頼む場合も、相手の名前や実際の文面を渡さなくても、この方針と目的があれば案を作れます。

配信中に個人情報を書かれた相談なら、「学校名を推測できるコメントが書かれた。配信を止め、証拠を残して通報するまでの短い案内が必要」と置き換えられます。学校名、相手のID、実際のコメントを入力しなくても、必要な手順は説明できます。

配信データを扱う場合は、氏名や配信名を作業番号へ置き換え、相談に不要な自由記述を削ります。ただし、人数が少なく、アプリ名、月、出来事の組み合わせで本人が分かるなら、個別の行を渡さず集計値へまとめてください。


成人女性ライバーが配信前に制服、配送ラベル、名札、窓外の位置の手掛かりを画面から外す場面

使うサービスと設定ごとの扱いを読む

生成AIは、サービス名が同じでも、個人向けか事業向けか、選んだ設定は何かによって入力内容の扱いが異なります。「AIだから安全」「履歴を消せるから入力してよい」とまとめず、実際に使う製品の現在の案内を読んでください。

個人向けのChatGPTでは、設定に応じて会話や画像、ファイルがモデル改善に使われる場合があります。「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにすると、その後の新しい会話はモデル改善に使われません。一方、ChatGPT Business、Enterprise、APIは、明示的に共有を選ばない限り、入力と出力がモデル訓練に使われないのが既定です。

一時チャットは履歴に表示されず、メモリを作らず、モデル改善にも使われませんが、安全上の目的でコピーが最大30日保持される場合があります。また、外部サービスへ送る機能を使えば、その先のデータ取扱いが適用されます。一時チャットを、個人情報を入れてよい許可とは考えないでください。

個人情報保護委員会は、一般の利用者に対して、入力した個人情報が機械学習に使われ、別の情報と結びついた形や不正確な形で出力されるリスクを踏まえて判断するよう注意を促しています。設定を読むことと、最初から入力を最小限にすることを組み合わせましょう。


送信前と漏れた後に行うこと

送信前に、人物、場所、連絡先、認証、金融、契約、個別メッセージの七つを見直します。どれかが残っていたら、削除するか、役割と状況だけの文章へ置き換えてください。迷う情報は送らず、管理者や正式な窓口へ相談します。

AIへ送った後で情報が残っていることに気づいたら、利用サービスの削除方法と保持方針を調べましょう。ChatGPTでは、チャットを削除しても、ライブラリへ保存されたファイルは別に管理される場合があります。チャットだけでなく、アップロードしたファイルの保存先も見てください。

配信中に学校名や住所につながる情報が出た場合は、AIへ相談する前に配信を止め、該当コメントの証拠を残し、配信サービス上で通報します。YUIの現場でも、コメントを後から見られる状態で配信を続けず、すぐ切るよう案内した事例があります。

生成AIへ渡してよいか迷ったときは、「この情報がなくても質問を作れるか」を考えてみましょう。相手を特定する情報を外し、起きていること、すでに行った対応、決めたいことだけにできれば、相談の目的を保ったまま入力範囲を小さくできます。


成人ライバーと女性マネージャーが個人情報を除いた短い相談文だけを送信前に確認する場面